「卓上出版」って知ってますか?
- 岡本ジュンイチ
- 2021年1月10日
- 読了時間: 4分
本が一日に何冊も新しく出版されて、近年では電子書籍の台頭によって、本の価値について改めて再認識されています。
そんな状況の中、個人でもできる出版の方法もあるのをご存知でしたか?
今回は、そんな個人でも出版ができる方法の一つである、「卓上出版」について紹介させていただきます。
●卓上出版とは
卓上出版とは、身近にあるパソコンや印刷機器などを使用して、机の上だけで行える出版方法のことを指します。
この卓上出版は、別名で「机上出版」とか「デスクトップパブリッシング」、略称「DTP」ともいわれています。
昔は、書籍データの編集作業や印刷物のデザインなどは専門の業者でなければ行うことができませんでした。
ところが近年の技術革新によって、個人単位でも技術的には書籍の出版が可能になっているのです。
個人が机上の周辺機器でデータを作成して印刷する。
これこそが卓上出版の定義だといえます。
●卓上出版の魅力
卓上出版の最大の魅力は、市場のニーズを無視して自由に表現ができることです。
既存の出版方法では、基本的には出版社の維持をするために書籍が売れなければなりません。
ゆえに、原稿は編集者の目を通さければならず、プロのデザイナーによって本の表紙や挿絵、文字組などが行われる必要があるのです。
中には完全に個人向けに行われる自費出版もあるにはありますが、それでは部数が限られてしまうことがしばしばです。
それに対し、卓上出版はすべて自己責任で書籍を企画・編集をして、文字組や挿絵、デザインなども自由に決めることができます。
出版部数も自由に調整できますし、自分の采配ですべての書籍の完成度が決められます。
個人が自由に、自分の判断で書籍がつくれる。
それこそが、卓上出版における最大の魅力だといってもいいでしょう。
●卓上出版の方法
卓上出版の方法はいくつかありますが、一番手っ取り早い方法は以下の通りです。
1.書籍の原稿データを自分で作成する
自力で文芸作品を書いたり、間に挿入する写真やイラストの挿絵を用意します。
ライティングや編集作業は、クラウドソーシングサイトを活用して外注することもできます。
そのように、まずは書籍の原稿データを完成させることから始めましょう。
2.DTPソフトをダウンロードして、書籍データのデザイン・文字組などを編集する
原稿データができたら、次は書籍のデザイン作業です。
既存のDTPソフトを購入・ダウンロードして、書籍の文字組や画像の挿入、表紙のデザインなどを行ってきましょう。
代表的なDTPソフトは、AdobeのIndesignやフリーソフトのScribusなどがあります。
3.印刷会社に書籍データを提出する
書籍のデータが出来上がったら、最後に印刷会社に外注して、データを提出しましょう。
自前で印刷する方法もなくはないですが、質のいい紙を仕入れたりプリンターのインクを買ったりする費用や手間がかかるうえに、丁寧できれいな製本がうまくできない可能性もあります。
印刷と製本はプロの業者に任せて、きれいな状態の書籍をつくり上げることに投資をするといいでしょう。
●本をつくる権利は、誰にでもある!
既存の出版社に頼らずに本を机の上でつくることに、多少なりとも抵抗感があるかもしれません。
ですが、昔の新聞やチラシ・書籍などは、もっと劣悪な状態でも自力で製作されていたのです。
その中で一番有名なところでいえば、島崎藤村が挙げられます。
藤村は既存の出版社に頼るのではなく、初期作品は何もかも自力で書籍をつくっていたといいます。
藤村の時代にはパソコンもなければ、便利な編集ソフトがあったわけでもありません。
そんな藤村からしたら、現代のこの卓上出版ができる恵まれた環境をどれだけうらやましく思うことでしょう。
本をつくる権利は、誰にでもあるのです。
これを機に、卓上出版によって自己表現する、という方法をとってみてはいかがでしょうか。
もしかしたら、あなたの作品を読んでくれるファンに、めぐり合うかもしれませんよ。
●あとがき
いかがでしたでしょうか。
今回は卓上出版の世界について軽く紹介させていただきました。
何か参考になったことはあったでしょうか?
今回のコラムを機に、あなたの出版における大きな可能性を広げてくださり、結果的に何らかの気分転換になってくだされば幸いに思います。
それでは、これにて今回のコラムを終えさせていただきます。
どうもありがとうございました!
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